浮壁工法の導入(透過音の解消をめざして)

このページはK様邸の施工を例にとり、壁の透過する音響対策を紹介します。

無響床の固体伝播音対策に引き続き、壁の透過音対策を行いました。音響対策上は壁からピアノを離すほど良いのですが、スペース効率上は難しいです。

浮壁工法の施工前状況

◎戸境壁をバックにピアノ配置。 ◎上部の出は梁型部です。
無響床 無響床

梁下の戸境壁を調べたところ、コンクリート躯体に木胴縁を介した石膏ボード仕上げとなっていました。

音響効果が考慮されない一般的な、躯体に内装ボードを固定するGL工法や、木材・LGS軸組等の中空二重壁構造の乾式壁工法は、中空層の共振現象(*1)による、共鳴透過が起こります。

また、あらゆる物体(この場合は壁を構成する建築素材の内装ボード)には、それぞれに、最も振動し易い固有振動数があり、騒音源の音響周波数と共振(*2)が起こる場合(音域)があります。どちらも遮音性能が、壁本来の質量則(*3)を下回る効果として表れます。

これら建造物にまつわる現象は近年良く知られるようになり、建設工事に於ける製法・工法に様々な工夫が提案されています。弊社は壁の透過音対策に浮壁工法を開発し採用しています。


◎長押を外してみました。 ◎木胴縁で固定。隙間は中空です。
無響床 無響床

施工計画

壁の透過音対策は壁全面、或いは天井も含めて覆うのがベストですが、今回のケースでは、主に階下の部屋への対策が主体であり、スペースユーティリティー、C/Pを勘案し、厚みのある梁型部を除く、梁下の戸境壁に弊社の go to there 軽量遮音工法 と音響遮断A・Iビス・ナット技術を融合し音響遮断する、浮壁工法を用い遮音補強を行いました。

◎梁下のへこみ段差を利用しました。 ◎浮壁のガイドとフレームは固着していません。
無響床 無響床
◎浮壁はM・S・Bを用いた軽量遮音パネル。 ◎周囲と壁の接点は、A・Iビスナット接続です。
無響床 無響床
◎音を入れる有孔LVLボード。 ◎化粧クロスで仕上ます。
無響床 無響床

吸音性を持つ遮音壁により壁に当たる音圧を下げて、遮音壁を保持する周囲へは、 A・I ビスナット を介し音響遮断することによって、躯体壁内を透過する音の低減・解消を図ります。


測定結果@

この値が実際に10Fの部屋で演奏した場合の9F寝室の測定値です。全音域音(AP)が41dB(A)から30dB(A)と減少しています。

無響床

表-3 H21.1.25(無響床設置) 〜 H21.1.30(浮壁工事日)

dB(A)\Hz  63  125 250 500  1K   2K   4K   8K   OA  memo
SPL2_1 U工事前 20 33 34 36 30 32 26 21 41 無響床無し
SPL2_2 U工事後 15 22 24 23 23 20 20 19 30 無響床在り

測定結果A

同じくこちらは9F居間での測定値です。1/25日の測定値は無響床設置日のものです。黄線の1/30日の数字は、浮壁工法採用の効果を表しています。

無響床

表-4 H21.1.25(無響床設置) 〜 H21.1.30(浮壁工事日)

dB(A)\Hz  63  125 250 500  1K   2K   4K   8K   OA  memo
SPL3_1/工事前 17 25 31 37 28 27 25 24 39 無響床無し
SPL3_2/工事後 14 20 25 23 22 20 20 19 30 無響床在り
SPL3_3/工事後 15 22 23 22 18 23 23 20 30 浮壁工事完了

※【SPL3_3について】

同時刻測定ではありません。参考値です。黄色線の2〜4KHzの高音域が1/25日の値をオーバーしているのは、騒音計のマイクロフォン近くの、何らかのノイズが混入したものと思われます。2KHzや4KHzはC7、B7鍵盤辺りに相当する高音で、通常階下には到達しません。


これらの結果は、工事後の騒音レベルは、よくタッチする鍵盤の音階域の減少を示し、全音域では、居間、寝室共に暗騒音(29dB(A) 表-1) 〜 +1dB(A)程度となった事が解ります。個人差はありますが許容される差異に収まっていると思います。

無響床

騒音レベルと日常感覚(参考)

go to there 30dB(A)前後の音感覚 は、室内で冷蔵庫の稼動音が気になる位のレベルです。